早くも話題!新商品スキンアクア「NEXTA®(ネクスタ®)」の開発秘話を聞いてきました!
2022年2月1日、全国のドラッグストア、バラエティショップ、ECサイト等で新発売したスキンアクア「NEXTA®(ネクスタ®)」(以下 ネクスタ®)は、長年研究を重ねてきたスキンアクアシリーズらしく高い日焼け止め効果と塗布感の良さをアップしながら、今回、海洋環境に徹底的に配慮。使用成分の処方見直しにチャレンジしたことが人気美容誌を中心に取り上げられ、早くも大きな話題になっている。
ダイビングにも日やけ止めが欠かせなくなっている今、持続可能な海の共創を目指すメディア・オーシャナ編集部としてはぜひ詳しくお話を聞きたいと思い、急きょ京都府木津川市にあるロート製薬株式会社の研究所に飛び、「ネクスタ®」の研究開発者である福嶋一宏(以下 福嶋氏)のインタビューが実現。
新商品誕生への思いなどを伺っていくと、そこにはただ単に環境に良いものを作りたい、話題性のあるものを作りたいという考えではなく、日々の生活やレジャーのなかで環境とどう共存していくか考えてみるきっかけを、日やけ止めを通して提供したいという使命感にも似た思いを感じることができた。
試作品は300以上。2016年くらいから構想していた
環境配慮型の日やけ止めが遂に誕生
―― 「ネクスタ®」というネーミングにはどのような思いがあるのでしょうか?
福嶋氏
元々、弊社にはスキンアクアという日やけ止めシリーズがあるのですが、今回の「ネクスタ®」は、今までそれらの日やけ止めを使ってこられた方々が、新しくより良い商品を使うことで“ネクストステージ”を体感いただきたいという思いと、初めて環境に配慮した成分処方であるという試みをしたので、日やけ止めとしての新たなスタート“ネクストスタート”を掛け合わせた商品名になっています。
―― その環境に配慮した成分処方ですが、正直、盲点だったというか、まさか自分の塗っている日やけ止めが海に悪影響を与えていたかもしれないなんて考えたこともなかった人が多いのかもしれません。「ネクスタ®」開発のきっかけは?
福嶋氏
2015年9月に国連サミットでSDGsが採択され、日本でもサスティナビリティという言葉がよく知られるようになりました。私も、開発者としての立場でどのような取り組みができるのか、化粧品の中身でもまだまだ環境に配慮することができるのではないかと考えるようになりました。開発者同士でもそのような話をする機会は増えましたね。
―― 今、海洋環境に悪影響があるのではないかと懸念されていて、「ネクスタ®」が不使用としたという成分が“オクチノキサート(※1)”や“オキシベンゾン(※2)”ですね。これらはどのような役割をする成分なのでしょうか?
※1 メトキシケイ皮酸エチルヘキシル
※2 オキシベンゾン-3
福嶋氏
日やけ止めは紫外線をカットすることが一番の目的なので、肌表面で紫外線を吸収して肌への紫外線の影響を防ぐ紫外線吸収剤という成分が主役であり、ほとんどの日やけ止めに入っているのですが、特にオクチノキサートはその中でも代表的な成分。市販されている多くの日やけ止めに配合されているんです。
――調べたところ、サンゴの白化現象の一因になっているのではと言われていますが、人体には影響はないのでしょうか?
福嶋氏
化粧品ではかなり以前からずっと使われている成分です。実績も十分にありますし、弊社でも製剤の安全性の確認はしっかりと行っています。だからこそ、開発当初は化粧品の製剤の1つに関してそこまでする必要性があるのかと疑問視する声もありました。でも次世代の化粧品開発にはきっと大切なことだと信じて率先して進めてきました。
――従来から日やけ止めに求められる効果や使い心地も落とすわけにはいかない。主成分である紫外線吸収剤を変える、ということは簡単なことではなかったのではないでしょうか?
福嶋氏
そこが技術的には一番難しかったことです。弊社が日やけ止め製品を作り始めて約30年。これまで蓄積してきた知見をもとに、どういう成分で処方化したらいいかを考えました。でもオクチノキサートは他の成分を溶かしてくれる力も高く、技術者にとって非常に使いやすい成分でした。実際に他の成分で代替したら、溶けなくて粉がザラザラと残ってしまったり……。本当はもっと早く製品化したかったのですが、それを解決する方法を見つけるのに時間がかかりました。試作品は300以上にも及びました。
―― 「ネクスタ®」はそんなご苦労があって誕生した商品なのですね。
ただ環境に配慮しただけじゃない!
“持続性セラムパック処方”で均一で美しい肌に
―― そのご苦労された日やけ止めとしての高品質と、環境への配慮の両立。私も先日から「ネクスタ®」を使わせていただいていますが、スルスルッと伸び、密着力が高いと感じています。
福嶋氏
“持続性セラムパック処方”と言って、ムラなく均一に肌の上に乗った保湿成分や紫外線吸収剤をパックのように密着して閉じ込めて、長時間その状態がキープできるようにする技術が使われています。ムラなく密着することで、肌表面をなめらかに整えます。
―― 「ネクスタ®」は色補正タイプではないはずですが、肌もきれいに見える気がしました。
福嶋氏
持続性セラムパック処方で均一に密着していることに加え、天然由来のミネラルパール(※3)も配合されています。光の反射によってくすみを補正してくれるんです。美容液成分(保湿成分)も、弊社のUV商品ラインナップのなかで贅沢に配合しています。
※3合成フルオロフロゴパイト、酸化チタン、酸化スズ(いずれも光沢剤)
――「ネクスタ®」は微香性ですが、普段ベースメイクは無香料派の方や男性にも、このほのかで爽やかで心地の良い香りは好まれそうですね。
福嶋氏
爽やかなクラシックフラワーの香りが、男性にも気に入っていただけると思います。
「ネクスタ®」を通して考えるSGDs
私たちが大好きな海にできることを考えるきっかけに
―― 話は、環境配慮に戻りますが、先日、オーシャナでも世界の有名ビーチで日やけ止めの成分規制が強化されていることをお伝えしました。日本国内ではまだ規制まではいかなくても、「ネクスタ®」があれば、海と共存しながらマリンレジャーを楽しめそうですね。
福嶋氏
そうですね。強い紫外線を長時間浴びることは人体にとって有害。海に悪いから日やけ止めを塗らないというのは、本末転倒な気がします。「ネクスタ®」のような商品を上手に使用していただけるといいですね。
―― 2月1日に発売されてから、既に今年の日やけ止め市場で大きな話題になっています。
福嶋氏
ただ単に「ネクスタ®」が話題になるというより、〝海にもうれしい日やけ止めが新発売されたらしいけど、それって何だろう?〟という興味が、環境への関心に繋がってくれたら嬉しいです。
―― 本当にそうですね。御社の時代のニーズを先取りした物づくりをしていこうという姿勢が印象的でした。「ネクスタ®」は〝気付き〟をくれる商品なのかもしれないと思いました。私は、この春夏は、「ネクスタ®」で海に出かけようと思います!本日はありがとうございました。
お話を伺い印象的だったのは、時代のニーズを先取りした物づくりをしていこうという姿勢。早速「ネクスタ®」は話題となり、それはすなわち、人々の〝海にもうれしい日やけ止めが新発売されたらしいけど、それって何だろう?〟という興味に繋がったということ。
興味を持ったことで、これまで当たり前のように配合されていた成分に、海洋環境に良くない影響を与えているのではないかと言われるものがあったという事実を知ることができ、こんな些細な私たちの行動でも地球の環境に密接に繋がっていることに気付かされる。ただ新しい良さそうな日やけ止めが発売されたというニュースではなく、「ネクスタ®」は〝気付き〟をくれる商品なのかもしれない。
開発1グループマネージャー
福嶋一宏
TEXT by Mayuko Minemura